Nastran スーパーエレメントの利用方法とメリット
スーパーエレメント機能とは
Simcenter Nastranのスーパーエレメント機能は、1つのモデルを複数の下部構造(スーパーエレメント)に分割し、それぞれの構造特性を計算した後、全体を統合・解析する機能です。
個々の下部構造の構造計算が終わっていれば、これらを結合することで全体の構造特性を構成することができます。
このことによって大規模なモデルの場合、一度に全体を計算するよりも計算コストを大幅に 削減することが可能になります。
外部スーパーエレメントの応用例
外部スーパーエレメントの実態は境界情報のみに縮退されたマトリクスで、普通外部ファイルとして参照されますので、通常外部スーパーエレメントと呼ばれます。
外部スーパーエレメントには剛性、質量、減衰、および荷重の情報を含み、通常のNASTRANモデルから生成することができます。外部スーパーエレメントは他のコンポーネントと接す るエクステリアポイントとその剛性、質量、減衰、荷重分布にまで縮退されており、非常にコンパクトになります。
たとえば、下図のようなロケットモデルの場合で、ペイロードを検討するとき、燃料タンクとエンジンモデルを外部スーパーエレメントにすれば、モデルの規模を非常に小さく抑えることができます。
ペイロードモデルを変更するときにも、その部分のみの変更ですみ、全体モデルによる解析を行うよりもはるかに短い時間で解析できます。
スーパーエレメントのメリット
スーパーエレメントを利用することには以下のようなメリットがあります。
- 1. システムモデルの解析に関わる計算コストを大幅に節約できる
- 2. システム設計でコンポーネントのインターフェイス分界条件が明確化できる
- 3. コンポーネントの設計変更を速やかにシステムモデルに反映できる
- 4. 計算機リソースを超えるような大規模問題を処理できる可能性がある
- 5. 基本構造の繰り返しとなるような構造物の場合、最小単位をモデル化することで全体を表現できるようになる
- 6. 部分詳細モデルをスーパーエレメントとしてシステムモデルに組み込み、解析結果から部分詳細モデルを評価するようなズーミング解析が可能となる
- 7. システムモデルをブラックボックス化できる(外部スーパーエレメント)
スーパーエレメンは複数のサブシステムで構成され、サブシステムと全体システムの設計の評価が同時に進行するような、高度で複雑なシステムの設計解析に大変便利な機能といえるでしょう。